わが家のTMRの栄養バランスは?(続編)

前報で私のTMRの栄養バランスを決める条件はその牛群の平均乳量を重要視しないとお話ししました。それでは、TMRの栄養バランスを決める主要な条件について説明したいと思います。

  1. 現状の牛群構成(産次、分娩後日数)、乾物摂取量、BCS、乳量、乳成分(乳脂率、乳蛋白、乳糖、MUN等)を知り、乳検を実施していれば、その牛群の産次別の年間乳量を確認する。これらの情報から今後半年間の牛群の乳生産量や泌乳前半の割合を予測する。
  2. 1の情報をもとに今後1~3ケ月間のその牛群のTMRの栄養バランスを決める。その前提条件として、現状の牛群では乾物摂取量の増加は直近では期待できないと見積もる。
  3. TMRのバランスを決める上で牛側の条件として重要なのは、乳成分のバランスである。泌乳前半の牛の乳脂率(3.5%以下)、乳蛋白(2.9%以下)が低い場合やMUN(12㎎/dl以上)が高い場合、それを是正するTMRの栄養バランスを検討する。
  4. TMRの澱粉含量を決める上で重要なのが、糞中のムチンの析出である。これが多い場合、大腸アシドーシスを疑い、澱粉の腸内の移行を減らすため、TMR中の飼料中の組み変えを実施する。
  5. TMRの栄養成分を決める条件は栄養的には、ルーメンでのエネルギー生産、菌体蛋白量を現状の種々の外的条件がある中、最大に持っていくことが基本である。しかし、そのメニューを決める際に立ちはだかるのが、農家さんからの制約である。原料事情、在庫、手間、あるいは価格等である。
  6. 前述に乾物摂取量は現状の牛群では増加しないという前提があるとしたが、5の農家さんの制約を少なくすれば可能性は十分ある。それを真っ先に挙げるとしたら、TMR中のNDFの消化率をアップさせることであり、既報で紹介したように一般に知られていないTMR中のバイパス蛋白を増加させることである。

(尚、ここではTMRの栄養バランスを決めるに当たり考慮する、給与方法、選び食い、水分等に関しては割愛します)

この記事を書いた人

Ishida

いろんなことに「なぜ」、「なぜ」と問いかける性分が子供の頃からあり、今も続いています。牛は私に「正直」に接してきますが、人は必ずしもそうではないため苦手です。このブログを通して、牛が農家さんに貢献してくれるとともに、牛が健康に長く生きられる術を皆さんといっしょに考えていきたいと思います。