牛の飼料、サイレージで見逃されている点(14)「サイレージ用乳酸菌は、腸内発酵に影響する?」

人においては、乳酸菌飲料が腸内発酵や免疫等によい影響を与えることが認知されてきています。                                 牛のおいても乳酸菌製剤は利用され、いくつかの菌種は動物用医薬品として認可されています。

しかし、サイレージ用の乳酸発酵を促す乳酸菌については、医薬品医療機器等法(旧・薬事法)等の法規制があるのか添加したサイレージ中の乳酸菌の牛への影響について言及したメーカーはほとんどないようです。しかし、添加したサイレージにおいて乳酸発酵が強い場合、そのサイレージの乳酸菌の主体は添加した乳酸菌であることは多くの場合は間違いないでしょう。

一般のスーパーで販売している乳酸菌飲料の中で注目している乳酸菌に「すぐき漬」という酸性の強い漬物から見出されたLactobacillus brevis KB200株に注目しています。                                                        植物性乳酸菌で耐酸性があり、材料中に糖が十分あればサイレージとして利用した場合pHの低下はかなり期待できます。

私が簡易に実施した青刈りトウモロコシ乳熟期(水分80%)を使用したポットサイレージ試験では、本品の添加により無添加よりpHは低い傾向にありました。

ヨーグルトや納豆などの発酵食品の多くは、EPS(菌体外多糖、ヨーグルトの粘性や納豆菌のネバネバの素材)を産生させ、腸内発酵や免疫に影響する報告1)は多数あります。
前述の注目した乳酸菌にもEPSの産生があり、その研究報告も散見されます。

私は、この菌による詳細なサイレージ研究には関わったことはありませんが、前述の簡易試験や過去に実施した他の商材のポット試験等の比較から判断し、有機酸生成量なりpH低下は市販のサイレージ用乳酸菌製剤と遜色ないのではと判断しています。

サイレージ用乳酸菌のEPS産生能やその機能の研究、あるいは「発酵TMR」等に増殖している乳酸菌のEPSに関しての研究が進み、乳酸発酵した飼料の新たな機能性を見出してもらえればと思っています。

(参考文献)
「乳酸菌の産生する菌体外多糖の構造と機能性」(「化学と生物」59(1):7-15(2021))

この記事を書いた人

Ishida

いろんなことに「なぜ」、「なぜ」と問いかける性分が子供の頃からあり、今も続いています。牛は私に「正直」に接してきますが、人は必ずしもそうではないため苦手です。このブログを通して、牛が農家さんに貢献してくれるとともに、牛が健康に長く生きられる術を皆さんといっしょに考えていきたいと思います。