配合飼料原料の再点検(4)なたね粕

なたね粕は、配合飼料原料における植物性油かす類に分類され、大豆粕と同様に、乳牛用配合飼料には広く使用されている飼料原料です。

少なくとも半世紀以前から利用されてきた本原料は、現在では大豆粕とは蛋白分画が異なるため、飼料設計上組み込まれる理由があると言われています。しかし、当時利用された主な理由は、大豆粕より飼料原料としてコストが安価であったことでした。

泌乳牛の飼料メニューの栄養バランスは、大きく濃厚飼料と粗飼料で決まります。その粗飼料の種類、割合、給与量は牛群ごとに異なるため、飼料設計に基づく濃厚飼料の栄養バランスも多様になります。配合飼料メーカーがそれぞれに対応した飼料を製造することは、指定配合以外では難しく、実際には粗蛋白質やTDNレベルに違いを持たせた「コーンサイレージ主体向け」「牧草主体向け」といったような製品しか販売できない実情があります。そのため、原料コストを重視した配合内容になっているのが実態です。

多くの場合、指定配合でない限り、原料原価の低減を目的としたLP(Linear Programming)計算により、その配合飼料に求められる粗蛋白質やTDN値を満たす最低コストの配合が算出され、販売されていると考えられます。

ここでは、主に日本標準飼料成分表に示された大豆粕となたね粕の飼料成分特性を比較してみます。

なたね粕は、大豆粕の粗蛋白質が乾物当たり51%であるのに対し42.3%と低く、逆にNDFは約12%ほど高く、しかもその消化率は低い値です。

嗜好性についても、私の知る限りでは、一般に大豆粕より牛の嗜好性は劣る傾向がありました。大豆粕は嗜好性が良好であり、乳牛用配合飼料への配合率が制限されることは少ないですが、なたね粕は異なっていました。蛋白源としては割安な原料ですが、配合割合が高くなるほど、配合飼料を分離給与している牛群では嗜好性が悪化する可能性があります。

また、NDFの消化率が大豆粕より低いことから、乾物摂取量が多くなる高泌乳牛ほど、実際のエネルギー価の差は大きくなると考えられます。

しかし前述のとおり、なたね粕は大豆粕とはルーメン内での蛋白分解速度が異なり、分解速度が遅いため、それを組み込むことが飼料設計上必要となる場合もあります。さらにTMR原料として使用した場合は混合されるため、嗜好性の問題はほとんどなくなります。

泌乳牛の飼料設計は、半世紀前と比較して大きく進歩しています。これまでのブログでも述べてきたとおり、配合飼料メーカーによる飼料設計に必要な配合飼料の詳細な成分開示は一般的ではありません。適切な精度の高い飼料設計を行うためにも、配合飼料の成分や各飼料原料割合の開示が進むことを期待しています。

この記事を書いた人

Ishida

いろんなことに「なぜ」、「なぜ」と問いかける性分が子供の頃からあり、今も続いています。牛は私に「正直」に接してきますが、人は必ずしもそうではないため苦手です。このブログを通して、牛が農家さんに貢献してくれるとともに、牛が健康に長く生きられる術を皆さんといっしょに考えていきたいと思います。