「グルコマンナン」の多い食品副産物として過去のブログで紹介した「コーヒー粕」の他に「飛粉」あります。
一般に馴染みのない飼料原料です。これは乾燥し粉砕したこんにゃくいもを精製する際に出てくるものです。この飛粉の主成分は澱粉とグルコマンナン(十数%程度)です。
飼料成分例としては、蛋白質26.7%、TDN62.1%(乾物当たり)です。名前が「飛び粉」と言うように、飛散しやすい原料であることに留意する必要があります。
こんにゃくの生産現場に近い地域の方は、飼料原料として提供してくれるところがないか、探してみる価値があるのではと思います。
ではなぜ、飛粉の「グルコマンナン」に着目するかを自分なりに整理してみました。
飛び粉は前述のとおり、飼料原料として牛の通常の飼料メニューに加えることができ、しかもグルコマンナンは水溶性の炭水化物であり、ルーメン内のアンモニアやカビ毒を一時的にでも吸着作用があり、またルーメンで分解を免れたグルコマンナンも腸内で同様な作用をすると推測されます。
特に注目するのは、ルーメンで加水分解を免れたグルコマンナンは、腸内で酪酸菌のエネルギーとなります。特に子牛には与えたい飼料原料です。
過去のブログでも紹介した腸内の酪酸菌は腸内免疫に重要な役割を果たしていることが、医学分野で知られるようになっています。子牛の免疫強化にあたり、腸内の酪酸菌を増やすため、水溶性繊維であるグルコマンナンを摂取させたいところです。
また、グルコマンナンは乳酸菌が利用できる炭水化物であり、通常のオリゴ糖のように腸内発酵のバランスも取ってくれます。
牛は人や単胃動物と異なり、ルーメン発酵があるため、牧草に多い繊維をエネルギー源できるだけでなく、グルコマンナンを含めた種々の多糖類をルーメン微生物が持つ多様な酵素により加水分解でき、エネルギー源にできる家畜です。
尚、冒頭のグラフは、飛粉の主な飼料成分を示していますが下記の「参考研究報告」より転載させてもらいました。
(参考研究報告)
「「コンニャク飛粉」有効利用法の検討 ;生物学的手法を用いた資源化」(高知工科大学修士論文(2003年)