畜産分野においても、乳酸菌等の生菌を含まず、栄養成分的には微量のミネラルや有機物を含んだほぼ水に近い「活性水」なるものを、牧草や飼料のサイレージ/発酵化の際に加えることによって、その発酵品質や家畜の腸内発酵の改善を歌い文句に種々の製品が出ています。
この製品を調べて見ると、「BMW技術」というものが基本にあることがわかりました。
なぜ、「BMW技術」がサイレージや腸内の発酵中の微生物や家畜の生体の代謝に影響するのかを、自分なりに整理してみました。 この「BMW技術」の詳しい内容は、下記の参考文献やホームページ等で参照できます。
B.M.Wは英語のBacteria、Mineral、Waterの略です。この技術により製造される「活性水」なるものは、誤解を恐れず要約すれば、以下のとおりです。 1)ポリタンク等を使い、通常の飲水や家畜尿などの中にミネラル(岩石)及び腐植質を入れる。
2)それを曝気装置等より好気発酵、ろ過等行い、その水質が有害にならない基準までにする。
3)これを通常の水に希釈し、家畜の飲水、サイレージ添加剤、牛舎環境の消臭剤等に利用する。
なぜ、「BMW技術」により製造された「活性水」なるものが、前述のような微生物や生体の代謝に影響するかは、私が持つ知見ではどうしても解読不可能でした。「水」の分子・原子レベルでの物理化学的な性質を理解、整理しなければならないのかもしれません。
ただ、この「BMW技術」の理論(仮説)の裏付けとなる学術的な検証研究例は私が調べる限り見当たりません。家禽に「活性水」商材を与えてその生産性に効果を示した研究事例3)等、幾つかは見つかりました。 この研究事例は、ブロイラーの成長試験において実施されており、冒頭の表は本試験における「活性水」の投与の有無による糞の臭気データです。有意に「活性水」による悪臭物質の低減を示しています。 この研究報告では、この悪臭物質の低減は活性水に含まれるフミン酸等の腐植物質よる作用としています
次回では、「腐植質」から溶出されるフミン酸、フルボン酸等の腐植酸の牧草等のサイレージ化時の添加による発酵への影響について整理したいと思います。
(参考文献)
1)「BMW糞尿・排水処理システム」(長崎浩著 農文協)
2)http://www.bm-sola.com/bm/archives/2005/07/post_23.html
3)「腐植質抽出液の飲水給与がブロイラーの生産性等に及ぼす影響」(香川県畜産試験場研究報:P33-37,2009年)