ブログ(1/31)でも触れた町の堆肥センターの一角を使い、嫌気性微生物資材を添加した堆肥発酵試験において、無添加に比較して、品温や有機物消失率に差は見られませんでした。
少し考えてみれば、教科書的には嫌気性微生物が大きく増殖しても熱発生量や有機物消失量が高くならないのが通常であり、当然の結果かもしれません。そうすると嫌気性微生物が増殖した効果判定には、別の発酵指標を使う必要があると考えてしまいます。
現在私が堆肥発酵で取り組んでいるのは、既報のブログでも述べた「戻し堆肥」の利用です。
「戻し堆肥」を添加しない通常の堆肥発酵よりは堆肥舎のスペースをその分取る場合もありますが、通常より発酵が進めば堆肥製造の期間が短縮されるメリットも出てくるでしょう。
いわゆる発酵前の生堆肥(牛糞尿主体)には通常は放線菌数は低いため、水分等の堆肥発酵条件を整え、放線菌数の多い戻し堆肥を「種堆肥」と使えば、発酵が早くなるとの見立てをし、町の堆肥センターで現在調査中です。ここで目指している堆肥調製は土のにおいが強い、所謂「放線菌堆肥」の製造です。
町の堆肥センターの堆肥を利用する耕種農家さんも土のにおいが強い分解の進んだ堆肥を好んでくれるのではと思っています。
今回の調査の中で改めて確認したことは、堆肥舎の室温が0℃前後でも堆肥中の微生物は有機物をどんどん消費して熱を発生していました。しかし、堆肥発酵開始1ケ月間の有機物消費量は20%以上ある中、水分含量に差は見られませんでした。
その原因は何だと思いますか?
また、今回の堆肥材料が水分75%程と高いものでしたが、有機物消失率は低いものではなかったにもかかわらず、品温は平均45℃ほどと高くはありませんでした。その原因は何だと思いますか?
堆肥水分の低下しない大きな原因は、水分の蒸散が起こっていないのではなく、有機物が消失しているため、有機物の消失量以上に水分蒸散量が多くないと堆肥の含水率は低くならないのです。
また、既報のブログでも述べたとおり、冬季の堆肥発酵では夏季と同じように微生物が増殖し、有機物消費量が多くても、発酵前の水分が高く(つまり比熱が高く)さらに堆肥舎の室温が低いため堆肥温度は夏季ほど上がらず、水分蒸散が低い一因になっていることも考えられます。
冒頭の写真は、堆肥発酵後4週間後の堆肥の抽出液による発芽状況(小松菜種子25粒)です。4週間程度の堆肥発酵では、発芽阻害物質があるようです。写真左から無添加抽出液、添加抽出液、水の処理です。