飼料設計モデルの見逃されていること(9)「泌乳牛の健康や受胎を損なわず、乳成分のコントロールは可能?」(その1)

もうすぐ暑熱期に入り、バルク乳の乳脂率低下や体細胞数の増加等、乳質の低下が気になってきます。
暑熱期のようにエネルギーの充足、受胎、乳質の維持が儘ならない場合には、容易にできる給与技術ではありません。それ以外の時期では以下のことに留意して、バルク乳で乳脂率4.0%以上になった乳成分を給与飼料の調整によりコントローして、乳生産を増やし収益性を上げることは可能ではと捉えています。

先ず、本給与方式が実施できる前提条件を整理したいと思います。

なぜ、私が本給与方式は可能として、本給与方式の研究開発に力を注いだかというと、その一つの切っ掛けは、放牧時の乳脂率の低下です。放牧草は栄養価が高く、油脂含量は4.5%以上ある場合もあります。確かに繊維の物理性は少ないのですが、ルーメンアシドーシスで乳脂率が低下しているのでしょうか?                 牛群の乳脂率が基準乳質のぎりぎりでも、繁殖に問題ない農家さんも多くいます。
泌乳牛がアシドーシス状態でなければ、私の中では低乳脂率と受胎との強い関係を見出すことはできていません。

次回は不飽和脂肪酸の多い飼料を給与した場合の乳成分、乳量への影響と本給与方式の収益への影響について整理したいと思います。

この記事を書いた人

Ishida

いろんなことに「なぜ」、「なぜ」と問いかける性分が子供の頃からあり、今も続いています。牛は私に「正直」に接してきますが、人は必ずしもそうではないため苦手です。このブログを通して、牛が農家さんに貢献してくれるとともに、牛が健康に長く生きられる術を皆さんといっしょに考えていきたいと思います。