Special Thanks 小林正春さんへ

令和4年10月を迎え当センターも無事第8期の決算を迎えることができました。センター管内の酪農家も依然として厳しい状況ですが力と知恵を出し合って何とか経営を維持継続できるように皆で努力頂いていることに感謝です。その中で、個々の努力の積み重ねで少しずつですが希望の兆しが見えてきたように感じます。

当センターでは設立当初から試行錯誤を重ねながら、より良い飼料づくりを目指してきた8年間の過程で大変お世話になった方を紹介したいと思います。

以前のブログで紹介しましたが、2017年4月からTMR飼料を供給しはじめた「小林正春」さんとの出会いがこのセンターの礎になりました。

小林正春さんは、長野県でもエクセレント牛の算出が一番多く数々の賞を受賞され牛の改良に絶大な貢献を頂いた方です。その小林正春さんは2022年3月末日に惜しまれながら搾乳業を終了されました。

小生が酪農業の関係に携わり25年以上となりますが、小林正春さんから教授頂いたことは飼料づくりの根底にあります。どのような事なのか、管理、血統、上げれば数多くありますが、主幹は「牛を看る力」であるということを教えていただきました。「見る力」ではなく「看る力」です。

牛は当たり前ですが日本語も英語もしゃべることはできない上に牛の個性はバラバラで様々です。それを常に確認するためには普段の何気ない仕草から読み取る力、つまり看る力が必要だと感じました。

以前に牛を管理する構成内容として、血統4割、管理3割、飼料3割とブログで書きましたが、合わせた10割を求めるのであればこれらのどれが欠けても到達することはできません。いくら良い設計や良い血統、良い管理をしたとしてもそれを合わせる技として「看る力」が必要と感じました。

最近では看る力はAI技術によって進化発展し、誰でも管理しやすい様になってきています。非常に良いことだと思いますが、AI技術は高額であることと技術の習得が難しいため誰もが使用できるものではありません。さらに、その技術を活用して判断するのは人間という生き物です。最終的に人間という生き物で牛を感じ、その結果で判断する。つまり日ごろからの牛の看る力を養うこと、これが土台であると感じています。既に酪農業を営われている方から見たら当たり前のことだと言われればその通りです。

その技を持っていられたのが小林正春さんでした。長年の経験と知識を傍で見られたこと、それを出し惜しむことなく教えて頂いたことで、この看る力という技術を発見することができました。本当に感謝です。その教えをセンターでの飼料づくりに反映し、今の状況を乗り切れるように日々精進しています。

搾乳業を終わらせても育成牛を飼養し、搾乳業時代には休止していた共進会も締めくくりを兼ね、第48回長野県B&Wショウ(2022年5月開催)にて未経産牛1頭を出品されました。結果1部ながら未経産牛でリザーブチャンピオンを獲得、小林正春さんの改良は衰えることはありません。

改良に尽力され大事に育て上げた小林正春さんから出荷された牛は、小林正春さんの希望もあり半分以上は当センター管内の次世代を担う若手酪農家の元へと運ばれました。若手酪農家の改良へも甚大な貢献いただいています。

小林正春さんは搾乳業は終了されましたが、育成牛づくりは継続されセンターとしても引き続き御世話になっています。今後も今までの経験と知識を継続し酪農業へ一助いただければ幸いです。

八千穂TMRセンターができて、試行錯誤の中での小林正春さんとの出会い。まさに偶然の積み重ねだったのかもしれませんが、それを運命であったと理解するのもありかもしれません。

小林正春さんへ心より感謝を込めてお礼申し上げたいと思います。

この記事を書いた人

RIRU

八千穂TMRセンターの運営管理者です。創業5周年を記念して当サイトを立ち上げました。実践を武器に通説を斜め目線から読み解き、酪農家のためになる本音トークでの情報提供を行っていきます。