当TMRセンターの利用者である、南牧村野辺山の小林正春さんが令和2年度の検定成績で最優秀賞を受賞されましたのでご紹介したいと思います。
長きにわたり牛群改良等に尽力されている小林正春さん。常に牛群審査では上位であり、長野県下でも改良の第一人者として活躍されています。その小林正春さんと当センターとの縁は約4年前の2017年5月からとなります。
その当時は通常行われている配合飼料+自給飼料(コーンサイレージ)+輸入乾草の分離給与法で給与されていました。牛への拘りと同じくらい給与する飼料を拘り、牛1頭毎に拘りを持って給与されていました。
この状況下「TMR飼料」を検討したいという話が協力者を通じてあったのは正直驚きでした。TMR飼料の給与はこれまでの飼養管理を大きく転換することになり、大変なイベントになることに違いありません。それを「TMRを給与することに決めたから」とあっさり言われ正直困惑しました。
仲間が増えることはうれしい限りですが、当センターで供給できる搾乳用TMR飼料はその牧場で1種類のみになります。いくらその牧場オリジナルといえ全泌乳期において同じ内容(濃度)のTMR飼料が給与されることになり、今までのように1頭毎の調整はし辛くなります。ましてや小林正春さんが長年にわたり改良されてきた牛です。何かあってからでは責任を取ることはできません。正直、断るしかないと思い話し合いをしました。
その話し合いの中「何かあっても俺が責任を取る」「全てお前に任せる」と強い言葉と意志を頂き、TMR飼料の供給を決断しました。後から聞きましたが、この時には成功するかしないかわからないTMR飼料のために、保管する施設と給与する配餌車を用意することを決断されていたようです。
当センターとしても万全を期すためにも北軽井沢の清水大樹獣医師に月2回繁殖検診をお願いして牛の状況を随時確認、小林正春さんの牛に合わせるようにオリジナルのTMRの設計を2年かけて作り上げました。勿論その間には様々なトラブルはありましたが話し合いながら調整を行い、令和1年度は検定成績で3位を受賞され、令和2年度で最優秀賞を受賞されました。
小林正春さんは今回の結果を「TMRが良いから」と言って下さいますが、少なくとも当センターで作成しているTMRは小林正春さん専用の原材料を使用しているわけではなく、他の製造しているTMR飼料と変わりありません。
これまで20数年間牛の世界で携わってきて感じたことですが、牛への影響は、血統4割、管理3割、飼料3割と感じています。少なくとも飼料を除く7割の小林正春さんの努力があってこその結果だと思います。
今後も牛に寄り添ったTMR飼料の供給を目指し、この度の受賞に感謝申し上げ、お祝い申し上げたいと思います。