大豆や豆科牧草には一般に植物性エストロジェン様物質が含まれ、これを過剰摂取すると繁殖等に悪影響が出ることが知られています。
人においても、大豆食品に含まれるイソフラボン等のエストロジェン様物質の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすということで厚生労働省(食品安全委員会)はその上限を定めています(大豆イソフラボンの1日の摂取量の上限を70~75㎎)。
一方、イソフラボン類の摂取により、体内のエストロジェンと同様、骨密度の維持、インスリン抵抗性の改善等の効果を示す研究報告も出されています。
このような事情から、豆腐粕、醤油粕等の大豆食品の副産物を牛の飼料に組み込む場合、イソフラボン類等の植物性エストロジェン様物質の影響を把握した上で飼料設計する必要があります。
これまで国内においても、大豆、大豆粕等の過給により牛への繁殖への影響が報告(下記)されています。これらの報告や食品分野の報告を参考して、私が泌乳牛の飼料設計する際は以下の点に留意しています。
(参考研究報告)
1)「くず大豆が給与された褐色和種雌牛に発生した無発情の原因調査」(日獣会誌56 722~727(2003))
2)「高泌乳の1牛群における双子分娩と飼料中イソフラボンの関係について検討」(「家畜診療」61巻第9号)